長板中型染め 浴衣

  • 2006.04.21 Friday
  • 19:15
4月15日(土) 埼玉県八潮から長板中型染めの職人さんをお呼びした会を開きました。

ところで、皆様「長板染め」で「ぴん」と来ました?
nagaita

私は呉服業界に入るため、まずは地元埼玉の着物について勉強してみようと思い、そこでようやくこの技法を知りました。

県の草加市エリアは、川に囲まれ、江戸もちかく、サラシ・藍の入手が可能であったため、浴衣作りが以前は盛んでした。草加市の「東京本染め」浴衣は、県の伝統工芸品の認定を受けています。

面白いなあと思い、この組合にお電話したところ、この「東京本染め」を使って、浴衣を生産している所は草加市では1軒のみ。お話しをお伺いしたくても、とてもお忙しそうでした。

このお話しをとある呉服業界の方にお話しをしたところ、県内の八潮市に「東京本染め」よりなお古い、長板中型染の浴衣の技法を守られている職人さんがいることが分かりました。しかも「無形文化財」もお持ちの方とのこと。

それが、私の長板中型染士初山さんとの出会いです。


長板中型染めの歴史

江戸時代中期以降、多くの藩は幕府への上納金の増加や飢饉により、財政難の陥ります。
そこで、町民や農民たちからもっと税金をとりたてようと、彼らに質素な生活を強いる「倹約令」なるものを頻発します。例えば「男女とも衣類は木綿にすべし」とし、絹の着物を禁止します。

しかしながら、いつの時代も「衣」は、一番最初にに自分の地位を差別化できる道具。一部の豪商たちは、なんとかして立派にみせよう、そしてお役人たちの鼻をあかしてやろうと、そこで生まれたのが、この長板中型染め技法です。

この技法はとても凝った模様の浴衣(綿の着物)ができるため、それらを着ることとで豪商たちは権力を見せ付けます。


長板中型染め行程ダイジェスト

1. 型※をサラシにあて、糊付けをしていく(写真の赤いものが糊です)
katanori
2. 大豆の煮汁を適量かけていく(たんぱく質がないと、色が染まらないため)
3. 藍の釜に3度いれる
4. 糊を洗い落とす(そのため大量の水が必要。だから川の近くに工房が多いのです)
※漆、和紙、絹、しぶで作られています。どうして「中型」というと、小紋より模様が大きいためです。模様を大きくしてその分、細かい描写を表しています。




ここがすごい!

これを裏表両面行います。しかも、その模様は両面ぴったりと一致!(これがきちんとできると「無形文化財」の認定をもらえるそうです)
mekuri
浴衣は本来、風でめくれても良いようにという、江戸町民の心意気から、両面に絵柄があるのが絶対条件でした。そしてそのころは、モノが大切だったので、痛んだら裏表逆にしていたのだと考えられます。

たった1つの型紙を両面ぴったりと柄を合わせるのには、熟練の作業が必要です。
できるだけ細かくて複雑な柄のほうが豪華に見えるため、長板中型では昔から手の込んだ柄が多いのです。

その型を約裏表で30回ほどを置いて、糊を刷毛で塗っていきます。その間、ずっと中腰。そしていつもつかうへらで右側にはおおきなマメが職人さんの手には出来ていました。hatuyama

日本人の私でも感動。。。まして海外の方々立ちは「COOL」の連発でした。
image

本当に素晴らしいお話しをお伺いでき、浴衣に対する考えが一掃されました。
今までは浴衣は夏のファッションとして考えていたけど、この時代背景・歴史を知ることにより、文化なのだと思わされました。

だから大量生産で片側だけにプリントされた浴衣ではなく、文化を表す浴衣をもっと多くの方にお召しになって頂きたいなあと思った次第です。



==================いきなりイベント情報


Kimono international cafe @ 六本木


国籍に関係なく、キモノで女の子同士語ろう!


日時:4月28日(金) 18時〜21時
場所:リラクゼーションルーム seabed
東京都港区西麻布3-1-20 Dear西麻布3F
http://www.seabed.jp/m_index.htm

    六本木駅 C-1出口から徒歩4分 六本木ヒルズから徒歩1分
    チャールストンカフェオリエンタルの入っているビル3階
    (エレベーターでお上がりください)

  抹茶とお菓子+簡単な着付けサービス 2500円(事前予約2000円)
  外国人の方と一緒の場合 2000円 (事前予約1500円)
  キモノでご来場の方 1500円 (事前予約1000円)

  26日(水)までにメールにてご予約いただいた方は、
  一律500円割引いたします。
  到着時間・人数をメールでご連絡ください。
メインページの右上E-mailからどうぞ。


1時間以上ご滞在の場合、1時間ごとに1ドリンクのオーダーをお願い致します。(全て500円 ソフトドリンクのみのご提供です)

メイク、エステ、着付け(仮)の講習・サービスが別途500円〜1000円でお受けできます。

※満員の場合、ご予約の方が優先されます。ぜひ割引もありますので、事前にメールでご予約ください


=====================






江戸友禅染絵師さんの会が終了しました

  • 2006.04.04 Tuesday
  • 19:46
4月1日、当店の「伝統工芸の保存と普及」をテーマに開かれた第1回のイベントが終了いたしました。
nonjapanese kodmoapukaki

江戸友禅染絵師 小柳津 公龍先生の技法に、子供たちも海外の方も感心と感動の嵐でした。皆様からのお礼の言葉を糧に、今後も伝統の普及に努めて生きたいと思った次第です。


・・・さて、次回の「伝統技法の保存・普及」のためのイベントは、

4月15日(土) 江戸時代から続く「長板中型」染で、今なお埼玉県八潮市で、浴衣を染め続ける職人さんを招きしております。
パネルを使って、無形文化財である「長板中型」染の技法をご説明させて頂きます。詳しくは次のHPをご参照ください。
http://kongetu.kimono-sakaeya.com/?eid=193668

なお当日は、海外の方を今後の日本文化普及のためにお招きをしております。


また、英語系教育出版社のアルクのホームページでの連載
「呉服屋二代目 越智 香保利の海外行ったら着物です!」http://girls.alc.co.jp/ochi/では、現在当店の生い立ちを紹介しています。実はこれは父と母の馴れ初めから始まっているのです・・・

ぜひこちらにも、アクセスいただければ幸いです!

伝統と現代が溶け合う時

  • 2006.03.16 Thursday
  • 01:48
ずっと回答を探していたこと。

この時代に、伝統を守ることは大変だ。

それでも、伝統を守ってくれている職人さんに何か報いたい、という問い。

リサイクル着物店の継ぎつつも、いつも心の中で自問していました。

「すべてがリサイクル着物になったら、新しい着物は作られない。そうなると、伝統の技術はどうなるのだろう?辻が花のように消えてしまうのだろうか?」



今思えば、私はなんと恵まれた環境に育ったのか。

小学生時代、まだ呉服が全盛だった頃、学校から帰ると、催事の度にいろいろな職人さんが実演を見せてくれた。絣織り、絞り、草木染め・・・

特に、江戸友禅染士の小柳津公龍先生は、お嬢さんがいなかったため、本当の娘のように、私をかわいがってくれた。

動物好きの私のために、色紙にウサギだの、犬だの絵を描いてくれ、小学生には難しすぎるウンチクまで語ってくれた。

こころ
心を磨けという図


ノルウェーから帰国し、家業を後継することを決めたとき、その報告に、小柳津先生を訪ねた。

10年ぶりにお会いする先生は、小さかった。

仕事がないので、お弟子さんを里に帰したそうだ。

うつむいたときに、涙がこぼれそうになった。

こんなに描くこと、着物を作ることを愛する先生から、仕事を奪ったのは誰だ?

バブルの崩壊か?現代の風潮か? いや、、きっと呉服界への消費者からの不信かもしれない。


先生が作る匹田技法を併用した絵の迫力はすごい。

hitori
↑先生の帯をしめて

母から譲り受けた先生の帯をしめていけば、知らない人からも「素晴らしい」と褒められた。

匹田技法は熟練した腕が必要だ。それなのに今の時点でお弟子さんを取らなくなったら・・・



リサイクル着物を販売しながら、常に考えていた。どうやればこうやった職人さんが安心して弟子を育てられる環境を作られるのだろうと。

そして、その私のなりの回答が出た。

4・5月からの間、お店で埼玉県の伝統工芸を中心に、昔ながらの伝統技法を作った商品の実演・展示と販売することにしたのだ。


まず、小柳津先生が参加をしてくれることに。そして、埼玉の伝統工芸を守る職人さんも参加を表明してくださった。

しかし、その道のりは長かった。

なかなかみんなうんと言ってくれないのだ。

それは、職人さんたちが、「ここまできていたのか!」というほど、商品を作る気力をなくしてしまっていたのだ。

あるところは、博物館へ収めるだけでもうそれ以上は作らない。あるところは、80を超えた高齢者だけが制作しているので、実演には出向けない。

それでも、埼玉で手機で絣を織る、本庄絣の職人さんが参加を同意してくれたり、
今日は、天保年間から浴衣を作り続ける問屋さんからその型紙をお借りするお約束を取り付けたり。



お話をした、ある伝統技術を守る方の言葉が印象深い。
「伝統だけをまもって安穏としていたことを反省している」と。

現代は、情報が氾濫している。自分から発信しなければ、埋没してしまう。

私がこうやってブログを書くこと。この現代の風潮が、今伝統を守ろうとしている。

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さかえ屋呉服店

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